東京で過ごすインターンの一日
ISSUE 8|インパクト投資と日本のビジネス文化を駆け抜ける、Kaiの夏
📝 インターン寄稿 第3弾:SIIFICのインターンシップ
*SIIFIC Newsletter ISSUE 8(日本語版)
SIIFICと歩んだ、Kaiのこの夏のインターン体験記
日々の冒険に飛び込む前に、この旅の舞台と、それを可能にしている人たちについて少しご紹介します。
SIIFIC(SIIFインパクトキャピタル株式会社)は、戦略的な投資を通じて社会や環境にポジティブな変化を生み出す、パイオニア的なインパクトベンチャーキャピタルです。第一号ファンド「SIIFICウェルネスファンド」では、ウェルネス・ヘルスケア分野の革新的な事業に投資し、誰よりもより良く生きられる社会へのシステムチェンジを目指しています。
このインターンシップ期間中、私は素晴らしい方々と間近で関わる機会に恵まれました。共同創業者の梅田さんと三浦さんは、会議のリードから分析業務のフィードバックまで、常に私たちを導き、プロフェッショナルとしての姿勢を惜しみなく教えてくれます。
そして、もう一人のインターン仲間、Lilyの存在も欠かせません。米国と英国という異なるバックグラウンドを持つ私たちは、チームとして分析業務に取り組み、ニュースレターを執筆し、若き社会人として東京を駆け巡る日々を共有しています。このパートナーシップは、国際的な視点と多様な経験がいかに投資の効果を高められるかを示す好例です。
私の勤務は週4日(うち3日は表参道オフィス、1日は在宅)、リリーは週5日。手を動かして学ぶ時間と、集中的な学びを整理する時間の両方を大切にできる理想的なバランスです。
それでは、このかけがえのない環境で過ごす、私のとある一日をご案内します。
☀️朝のラッシュと、静かな始まり
7:50 AM 一日の幕開け
上北ハウスの寮で目を覚ますと、またしても容赦ない東京の朝が迎えてくれます。午前8時前ですでに気温は33℃、東京の夏は本気です。外に出た瞬間、湿気が壁のように全身を包み込みますが、それでも不思議と力が湧いてくる - この街の通勤者たちが、次の電車に乗り込もうと奮闘しているのを思うと、自分もその一員として一日を始められるのが、どこか心地よいのです。
8:10 AM 住宅街から都会のジャングルへ
寮を出ると、まず感じるのは住宅街の静かで落ち着いた空気。その先に待ち構えている喧騒とは、まるで別世界です。駅までの10分間の道のりは穏やかで、これから始まる1時間の通勤に向けて心を整える時間でもあります。私にとっては、いわば毎日の瞑想のようなもの。お気に入りの音楽をダウンロードして繰り返し聴き、半分眠ったままのような朝でも、この時間に一日のエネルギーをじっくり蓄えるのです。
8:20 AM “詰め込み”の技術
駅に着くと、東京の鉄道システムが“伝説”と呼ばれる理由をすぐに思い知らされます。今日の遅延で列はいつもより長く、電車が到着すると、私は東京の通勤者たちによる複雑な“ダンス”に加わります。見た目には不可能に思えるほどぎゅうぎゅうの車内へ、礼儀正しく、しかし確固たる意思を持って押し入っていくのです。そこには暗黙のルールが存在し、私はまだ習得途中です——リュックは前に、年配の方には席を譲る、そして「もう入れない」と思った瞬間にも、必ず入れるスペースはある、ということ。
数週間も経つと乗り換えはすっかり身体に染みつき、各駅が自宅のある住宅街から渋谷近くのビジネス街へと向かう日々の旅路の目印になります。私は自分自身との勝負のように、寮から職場までの所要時間を計り、過去の記録を更新することもしばしば。そのおかげで、少しずつ朝は遅くまで寝られるようになってきました。
🧐仕事の時間:インパクトと分析が交差するオフィスの朝
9:15 AM インパクトに向けたエネルギーチャージ
電車が遅延しても、私は表参道駅に早めに到着し、地下のショップでコーヒーと朝食を買うことができます。冷たい一杯と軽い食事を楽しむこの静かな数分間は、インターンとしての一日が始まる前の、私にとって大切な“禅”の時間になっています。
9:25 AM SIIFICオフィス
表参道のオフィスへ向かいながら、なぜSIIFICがこの場所を選んだのかを考えます。多くのVCや金融会社が東京の金融街に集まる中、SIIFICは高級ブランド店、美容ブランド、スタイリッシュなカフェで知られるこのエリアに拠点を構えています。この独自の立地は、SIIFICのインパクト投資への特別なアプローチを象徴しており、梅田さんと三浦さんが愛着を込めて語る2人が最初に出会った「昔のシリコンバレーの雰囲気」にも通じています。オフィスに着くと、すでに仕事をしているLilyと三浦さんが迎えてくれました。SIIFICが単に利益を追求する会社ではなく、戦略的投資を通じてポジティブな変化を生み出すことに情熱を注いでいることに、改めて魅力を感じます。そして今日の業務も、その哲学を体現しています。
9:25 AM〜11:00 AM チャーンレート・チャレンジ
今朝の課題は顧客離脱率(チャーンレート)の分析。一見地味な数字でも、その背景には実在する企業と顧客、そして彼らの継続利用が関わっています。梅田さんと三浦さんは、私たちに投資委員会で成果を発表する機会を与えてくれました。そのため、一つひとつの計算や提案に重みが加わり、インターンの立場であっても自分の分析が投資判断に影響を与えるかもしれないという誇らしさと責任感を感じます。
11:00 AM〜1:00 PM ニュースレターと今後の計画
ニュースレター(まさに今読んでいただいているこの記事!)を書く過程は、複雑なビジネス経験をどうやって読み手に分かりやすく伝えるかを考える良い機会です。この夏のSIIFICでのインターン体験を振り返りながら文章を綴ります。
そんなとき、不意にスマホに津波警報が届きました。東京らしいことに、周囲は静かに通知を確認しつつ、仕事はいつも通り続きます。こうした瞬間、日本では防災意識が日常生活に自然に組み込まれていることを思い知らされます。
たとえば、私たちが熊本へ出張したときもそうでした。8月19日公開予定の熊本とC-HAS+に関する記事をぜひお楽しみに。あの日、飛行機が2時間遅れ、羽田空港に到着した時にはすでに全ての電車が運休。深夜に長時間の帰宅を避けるため、Lilyと私は(許可を得て)オフィスに泊まることにしました。空港からタクシーで直行し、備え付けのヘルメットと寝袋を使って夜を過ごしたのです。これは、三浦さんが事前に「災害時の備え」として見せてくれていたおかげで選べた方法でした。
🕛昼下がり:ひとり探検
1:00 PM ソロランチ
今日はゲストとの打ち合わせがなく、ランチは久しぶりのソロ冒険。普段は起業家が次々と訪れ、ミーティングや相談、カジュアルな雑談でぎっしり詰まったスケジュールが続きます。これは、SIIFICがインパクト投資におけるデューデリジェンスを真剣に行いながら、同時に起業家を大切に育てている証でもあります。
ふらりと見つけたのは、地元のスムージーとサラダの店。東京の健康志向なビジネス文化を体現するようなスポットです。とはいえ、健康的な選択肢がいくらでもある東京でも、時にはアメリカ式の脂っこいランチで“ホーム感”を維持したくなるもの。東京でひとりランチをすることは、決して寂しいことではありません。むしろ、街が昼休みにひと呼吸おく、そのリズムを観察する絶好の時間です。
午前中のチームワークに満ちたエネルギーと、この穏やかなソロタイムの対比が、午後の活動に向けてちょうどよいリセットになります。
💡午後:ビジネスとイノベーションが交わる場所
1:40 PM プレゼンの緊張感
オフィスに戻ると、午前中にまとめたチャーンレート分析を梅田さんと三浦さんに確認してもらいます。空気は一気に引き締まり、緊張感が走ります。なぜなら、このスライドは今後のミーティングで実際に使われ、私たちの夏のインターンプロジェクトがSIIFICにとって本当の意味を持つものへと変わるからです。この瞬間、インターンシップはただの「学びの場」から、一歩進んだ「実質的な貢献」へと変わります。
3:00 PM イノベーションの現場:遠藤先生の来訪
がん治療の革新に挑むバイオテック企業、ジェイファーマ社の創業者である遠藤先生が来訪。彼の最新の技術と研究成果を目の当たりにすることは、SIIFICの投資哲学の魅力をそのまま映し出す体験です。最先端の製薬研究が、いかにして投資のチャンスへと変わっていくのか - その一部始終を、まるで最前列の観客のように見守ります。これは、人々の命を変える可能性を秘めたテクノロジーです。
学術研究、製薬イノベーション、そしてインパクト投資。その交差点が、私たちの会議室の中で広がります。インターンでありながら、この議論の場に同席させてもらえることは、まさに「アイデアが現実になる瞬間」を間近で学ぶ特等席のようなものです。
🥋After Hours:オフィスの外で広がる世界
6:30 PM 思いがけない合気道体験
そろそろ一日が終わるかと思っていた矢先、木刀を使った合気道の稽古という珍しい機会が訪れました。バイオテク投資のプレゼンから伝統武道への切り替え - こんなインターン体験、他にあるでしょうか。
自分では冗談めかして「半分日本人の血が騒いだ」と言っていますが、実際、合気道には私たちの分析業務にも通じる集中力と正確さが求められます。礼節と心の静けさが根付くこの古武道の精神は、毎日触れている日本のビジネス文化とも不思議と重なります。幸いなことに動きはすぐに馴染み、また機会があればぜひ挑戦したいと思いました。
オフィスの片付けと帰路
全員でオフィスをきれいにしてから帰宅するのが日課です。日本の職場文化では、こうした共同作業は単なる掃除ではなく、相互の敬意とチームの一体感を表すものです。
⭐️夜:小さな挑戦と発見
スパイスとの戦い
帰り道、地元のカレー屋に立ち寄ったのが今夜の小さな冒険。15段階中レベル4の辛さを選び、控えめなつもりでいたのに、一口で自分の限界を痛感する羽目に。結局、急いでスムージー(アサイーフレーバー)を求めて走ることになり、それが今夜のちょっとした笑い話になりました。
こうした小さな失敗とリカバリーの積み重ねこそが、仕事の経験を人生の経験へと変えていくのだと感じます。
🕰️振り返り:平均以上の一日
今日は、ただのオフィスワークではありませんでした。津波警報、遠藤先生による迫力あるプレゼン、合気道体験、そしてカレーでの辛さチャレンジ - それらすべてが、このインターンを特別なものにしています。
東京のSIIFICで働くことは、単に投資分析や日本のビジネス文化を学ぶことではありません。イノベーション、伝統、そして人と人とのつながりが交わる現場で、世界のインパクト投資の姿を体感することです。
満員電車、上司へのプレゼン、文化的な発見 - その一つひとつが「ビジネスは社会をより良くする力になれる」という理解に厚みを加えてくれます。分析力も大事ですが、文化的な感受性、適応力、そしてグローバルな視点は、これから長く自分を支えてくれるはずです。
毎晩、寮へ戻る道すがら東京の夜景を見上げながら、この経験が私に教えてくれているのは - 「快適さの外で居心地を見つけること」、「新参者でも意味ある貢献ができること」、そして「インパクト投資は数字だけでなく、その背後にある人間の物語を理解すること」なのだと気づきます。
明日もまた、新しい挑戦、新しい文化との出会い、そして意味ある変化に貢献する新たな機会が待っています。これこそが、東京でのインターン生活を記録し続ける価値なのです。
🆕新人インターンから見たKaiとLily
8月5日、SIIFICに3 Day 高校生インターンの仮屋薗俊策君がやってきました。彼が、リリーと私のインターンシップについて取材し、コラムを執筆してくれました。
Lily
Lilyは、日本の投資手法に関心を持ち、このインターンに参加しました。彼女にとって、日本の投資は、米国で大学に通いながら目にしてきた西洋型資本主義よりも倫理的に感じられたといいます。そして実際、このインターン期間中に、彼女は分野の専門家と数多く出会い、学び、SIIFICの共同創業者2人と日々密接に働く機会を得ました。
ハイライトのひとつは、日本最大級のスタートアップカンファレンス「IVS」への参加、そしてSIIFの投資委員会で自らの成果を発表できたことです。これらの経験から、日本のトップVCとして働くとはどういうことなのか、現場感覚で理解することができました。
言語や文化の違いという課題にも直面しましたが、すぐに環境に順応し、与えられた貴重な機会を最大限に活かしました。会議の中で、「本当に社会的な成果を生み出すと信じられる人に投資するとはどういうことか」を理解できたことは、この分野への関心をさらに深め、将来は同じような道を歩む可能性も視野に入れるきっかけとなりました。VCに必要な資格や豊富な経験を理解した上で、それを目指す価値があると考えています。
仕事の外でも、日本での探索を大いに楽しみました。英国の田舎で育った彼女にとって、日本はこれまで馴染みのない世界です。特に新宿御苑を訪れた際は、その美しさと都会の真ん中にあるとは思えない静けさに感動し、忙しい日々から離れてじっくりと考える時間を得ることができました。
Kai
Kaiは金融への関心からSIIFICを選び、将来進みたい分野での経験を積むには最適だと感じました。このインターンシップは良い意味で予想外の連続で、実際に会社に影響を与える仕事に関われました。たとえば、自分が書いたニュースレターが会社で公開され、多くの人に読まれたことは、最初は想像もしていなかった成果です。
このインターンで学んだ重要なことのひとつは、「あらゆるタスクを全力でやり遂げる」こと。時には、自分の納得いくレベルまで仕上げるために夜遅くまでオフィスに残ることもありました。慣れないことではありましたが、将来必ず必要になるスキルだと感じ、良い訓練になったと思っています。
また、SIIFICが他のインターン先と違うと感じたのは、「自分が本当に会社にとって大事な存在だと感じられた」こと。これが毎日努力を続ける原動力となり、メンターから貴重なアドバイスを受けることができました。特に驚いたのは、共同創業者2人の惜しみないサポートです。自分たちの時間を割いてでも、常に力になってくれたことに感謝しています。
熊本への出張も印象的でした。過去に何度か日本を訪れていたものの、この地域には初めて足を運びました。東京とは違い、路面電車などの光景が新鮮で、とても楽しい経験になりました。
このインターン全体を通して、新しい人との出会いや、まったく異なる環境に触れることで、将来間違いなく役立つかけがえのない経験を得ることができました。
東京で過ごす一日の旅にご一緒いただき、ありがとうございました。ここでの一つひとつの経験は、私の社会人としての成長だけでなく、ビジネスと文化、そして人としての自己成長が思いがけない形で、しかも深い意味を持って交わることへの理解をも育んでくれています。





